紋紗織

2025年6月18日、新しい柄をリリース
2024年にリリースした絣糸の2柄に加え、2025年にタッサーシルクの2柄をリリースしました。
通常の織機では織ることのできない、優美な織り柄をお楽しみください。
絣糸
タッサーシルク
「顕紋紗(けんもんしゃ / Figured Gauze)」
「顕紋紗(けんもんしゃ)」は、紋紗織(もんしゃおり)と呼ばれる絡み織りの一種です。
大分類となる「紗織」とは、絡み織りで織られた薄いガーゼやレースのように透け感のある織物のことを呼びます。
「紋紗織」は紗織の中でも、絡み織りと平織り、朱子織りと、複数の織組織の組み合わせにより、紋様を表現したものです。
今回使用したのは、紋紗織の一種である顕紋紗。通常、織物は経糸を真っ直ぐに張り、緯糸を組み合わせることで織っていきますが、「顕紋紗」は経糸を左右に開閉して柄を表現しています。
特殊な織り目であることから通常の織機では織れない、極めて貴重な織物です。

「顕紋紗」の歴史的背景
「顕紋紗」は奈良時代から存在が確認されている織物の技法です。
かつては公家装束の夏の衣料に用いられたものですが、現在は宮中儀式の装束や神宮浄衣、僧侶法衣、能衣装などに用いられることが殆ど。
さらに、こういった夏物は限られたシーズンの需要となることから、年々生産量が減っており、織ることのできる機屋も数が少なくなっているのが現状です。
「顕紋紗」を織る、旭ネクタイ工業株式会社について
創業1937年、京都西陣で90年近く続く、ネクタイ生地を主に生産している織屋です。
特殊な技術を要する「顕紋紗」を40年以上も織り続けている織屋の一つとなります。
織物に対する思いの強さ、そして独自の経験と技術から、細かい部分を微調整を重ね、「顕紋紗」の柄を作成していらっしゃいます。
旭ネクタイ工業株式会社では、1mの幅の織機で「顕紋紗」を製織しています。
広幅と呼ばれるこの生地幅は、「顕紋紗」を織る織機としては珍しく、テキスタイルとして様々な転用が効くサイズです。
京都西陣は着物の産地であるため、広幅の織機は多くないことから、織機自体が稀で貴重な存在です。
顕紋紗の織機と杼
顕紋紗の生地と杼
2025年 タッサーシルクの無地調シリーズ
2025年、新しくリリースするのは、「タッサーシルク」という特別なシルクを使用した無地調。
緯糸の一部に使用した「タッサーシルク」とは、野生の蚕である柞蚕 (さくさん) の繭から採取される絹糸のことを言います。
多様な植物を食べて育つため、繊維が強く、独特な光沢感があり、シャリ感が特徴的な糸です。
不均一な糸の太さが、より深みのある風合いを生み出す。「ゆらぎ」の美しいシリーズです。


KINSHOKUネクタイ 紋紗織 Figured Gauze ソリッドシリーズ
タッサーシルクの美しさを、シンプルに織り柄で表現した無地調のシリーズです。
2024年の絣糸シリーズと同様に、職人により手縫いで縫製。剣先には三巻加工を施し、スッキリと洗練されたスタイルに仕上げています。
シンプルでありながら、独特で美しい風合いは、紋紗織でなければ生まれない特別な質感です。

KINSHOKUポケットチーフ 紋紗織 Figured Gauze ソリッドシリーズ
紋紗織特有の織り柄を活かした、織り目の美しいポケットチーフです。
ソリッドストライプと同じ生地を使用しており、併せて着用いただくことで、統一感と美しさが際立ちます。
ブラックの生地にはネイビーの緯糸を合わせ、スーツに馴染みやすい色合いに。
見れば見るほど美しい、紋紗織をお楽しみください。
2024年 風合い豊かな青の「絣糸」シリーズ
2024年にリリースしたシリーズは、緯糸の一部に、「西陣絣」という特殊な染色をした糸を使用しています。
絣染めとは一本の糸を部分的に2色以上の色に染め分けられた糸のことをいい、部分的に染め分けることで模様を作ります。
西陣では経糸に西陣絣を使う「経絣」が主ですが、今回の織物である「顕紋紗」は経糸の遊びに特徴があるため、その良さを生かすために、今回は緯糸のみに使う「緯絣」で織っています。
多彩で美しい絣染めの糸をお楽しみいただける、独特な風合いの生地に仕上がりました。
ボビン・絣糸と杼
ボビンに巻いた絣糸

KINSHOKUネクタイ 紋紗織 Figured Gauze
大剣の裏地をなくし、清涼感のある三巻(みつまき)で仕上げました。
柄は無地とストライプの2つを展開しています。
ネクタイ生地の白と青を際立たせるために、メッシュ状の黒い芯地を採用。
デリケートな生地の特性上、ミシン縫いができないため、職人により一本一本手縫いで仕上げられています。

KINSHOKU 紋紗織 Figured Gauze 無地ポケットチーフ
生地特有の透け感や、折り重ねた時の表情を最大限に楽しめるポケットチーフに仕上げました。
端は千鳥縫いで縫製し、生地の上品さを強調するスッキリした印象に。
無地のネクタイと、無地のチーフでは同じ生地を使用。やや細身の紋紗織のネクタイと一緒に使うときに、印象が揃えやすいサイズで作っています。
また、ネクタイと同様に、生地がデリケートで縫製が難しいため、熟練の職人が縫い上げています。